プログラム⑤ ラフマニノフ 愛の悲しみ/愛の喜び
さて、プログラムノートも今回が最終回です!
最後を飾るのは、
ラフマニノフ編曲 愛の悲しみ/愛の喜び です。
音楽好きな方ならこの2曲がもともとヴァイオリンの為に書かれた曲だということをご存知かもしれません。
ヴァイオリニストであり作曲家であるオーストリア出身のフリッツ・クライスラーが作曲したものをラフマニノフがアレンジしました。
ラフマニノフはピアノソロ用に、自身の歌曲をはじめシューベルト、メンデルスゾーンなど様々な作曲家の音楽を編曲しました。
作曲家であり、ピアニストでもあったラフマニノフは「自分の曲だけでなく他の人の曲もちゃんと弾けるし、アレンジとかしちゃうからネ!」と、ピアニストとしてのキャリアを高めるためにも積極的に編曲をしていたようです。
ちなみに、この愛の悲しみ(=ドイツ語の原題Liebesleid)の「Leid」は日本語では心を痛める"悲しみ"と訳され、心を痛める打ちひしがれるようなイメージがありますが、同じドイツ語圏でも、ドイツとオーストリアでは大きく捉え方が違っているようです。オーストリアでは、どこか望みがあり、ポジティブな意味合いが含まれているようです。
言語も奥が深いですね!
それでは、皆さま。
5回にわたりプログラムノートを読んで頂きありがとうございました。
会場で、皆様の"赤"を楽しみにお待ちしております。
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田坂麻木ピアノリサイタル
🌹Opus.赤
2018/10/13(土)
19時開演(18時30分開場)
大泉学園ゆめりあホール
ドレスコード:赤いものを身に付けてお越しくださ
い
チケット: https://passmarket.yahoo.co.jp/event/show/detail/01euy8zmvckr.html
プログラムノート④ラフマニノフ:前奏曲
これまでの長い音楽の歴史の中で、前奏曲というスタイルは様々な捉え方をされてきました。
元来、即興的に演奏されるものでしたが、後にそれを楽譜に書き残すようになり、演奏技術を披露したり、自由な作風を受け入れる曲と変貌していきます。
コースの前菜として提供していたのだけれど、
あれ?この料理、単品としても出せちゃうのでは、、、?と作り手たちは気づきはじめ、
翌週からメニューにちゃっかり載せちゃうような感じですね。
ただ、前奏曲だけでは単品としては短いし、
出版するには何曲かでまとめた方がいいかな~、、、🤔
その場合どうやってまとめたらいいかな~😑
う~、、、ん😖
あ、、、吾輩いいこと思いついちゃったのでは、、、🤭
と、ある有名作曲家は閃いてしまうのです。
大作曲家バッハが平均律クラヴィーア集で成し遂げた
全調制覇(ド~シまで長短調各1つずつ)を受け継いだらいいのだ!!!ということに。
それに気が付いたのが、そう、ショパンでした。(ラフマニノフではない
そしてショパンは見事に前奏曲を24調で書き上げ、
それに便乗して俺も!俺も!とドビュッシー、スクリャービン、そしてラフマニノフも同様に書き始めます。
とはいえ、ショパンは24曲で1つの集大成としていますが、ラフマニノフは最初から1つの大きな集合体として前奏曲の作曲に取り掛かったわけではありませんでした。
初めての前奏曲は1892年に、後に10曲の前奏曲集を1903年、別の13曲の曲集を1910年に発表し全調24曲を完成させました。
ラフマニノフの最大の特徴であり魅力であるポリフォニック(多層的な音楽)な書法がいかんなく発揮されています。心臓を鷲掴みにされるような、運命を試されているような、、、。ドラマチックな音楽が盛りだくさんです。
今回はラフマニノフの各時代の前奏曲から計4曲をお届けします。
いっしょに長い時の流れを体験しましょう🌹
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田坂麻木ピアノリサイタル
🌹Opus.赤
2018/10/13(土)
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プログラムノート③ショパン バラード3番
私がこの曲に出会ったのは、中学3年生の秋。
高校受験の入試の課題曲でした。
その当時は先生に言われたことをとにかく頭と身体に叩き込むことに必死で客観的に音楽を楽しむ余裕はありませんでした。
月日は流れ、、、10余年、、、10余年?!?!
流れすぎた気もしますが、久しぶりに再会したこのバラードの濃厚さたるや!
15歳の私には知る由もなかった愛憎劇がたくさん盛り込まれていたのでした。
登場人物は若い騎士と水の精・オンディーヌ。
人間と精霊の禁断の恋を、ショパンは繊細かつ大胆に音楽で表現しました。
曲の冒頭、恋人同士の
「ねえ、ずっと好きでいてくれる?」
「当たり前だろ」
「本当に本当?」
「本当だって」
…のようなあまーーーーいやり取りがあり、
そこから湖のほとりで穏やかな時間を過ごすのですが、どの時代も女性は彼に本当に愛されているか不安になるようで…
≪彼が私を本当に愛してくれているか不安です。≫
とオンディーヌもYahoo!知恵袋に投稿してしまうんですね。そして、
≪別の女性に化けて、彼を誘惑してみては?≫
というベストアンサーにたどり着いてしまうのです。どうなる騎士。どうするオンディーヌ。
そこからの物語はショパンの天才的な描写と共にお楽しみいただければと思います!
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田坂麻木ピアノリサイタル
🌹Opus.赤
2018/10/13(土)
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プログラムノート② ショパン スケルツォ第2番
スケルツォ4曲中、最も人気の高い作品です。
どこかで耳にしたことがある方は多いのではないでしょうか。
変ロ短調の何かを問いかけるような3連符に、決別を告げるような鋭い和音が対になって曲は幕開けします。
変二長調で世界が広がり、ショパンらしい半音の装飾や和音で音楽は推進していきますが、、、
細かい調性や音楽用語を使った解説はやめましょう。つまらないですよね?笑
大まかな粗筋だけお伝えすると、
急―緩―急(+おまけ)
の3部形式となっております。
“急”部は、ショパンらしい神経質でありながら華やかな音楽が鳴り響きます。
移ろう左の和音の上を、自由に右手の甘美なメロディーが揺蕩う、、、ショパン様さすがです。
“緩”部は、突然それまでの色合いとは違った調が姿を現します。
この“え???”という意外性が自然と心地よく聴こえてしまうのがショパンの特性の1つではないでしょうか。
穏やかで、懐の深い音楽が始まったかと思うと、焦燥感にかられるような和音が迫ってきたり、夢心地のような滑らかなパッセージが現れたり、、、。
表情豊かな中間部です。緩部の物語が展開する場面は、このスケルツォ自体において最大の山場であり、運命に翻弄されるかの如くどんどん深いところへ飲み込まれていきます。
そして急部に戻り、曲の冒頭で聴こえた問いかけは輝かしいものとなって鳴り響き、華麗に終わりを迎えます。
シューマンがこのスケルツォを
「優しさ、大胆さ、そして愛と軽蔑が溢れている!」と評価しているように、
相反するものがたっぷり詰まったこの壮大な音楽を是非会場に聴きにいらしてください!
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田坂麻木ピアノリサイタル
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プログラムノート①ショパン 英雄ポロネーズ
みなさん、こんにちは。お元気ですか。
久しぶりの更新となってしまいました。
完全帰国をしてからあっという間に1年が経ち、
第5回リサイタル
音のパレットシリーズ vol.2 Opus.赤🌹
まで1ヶ月を切りました!
そこで、リサイタル前恒例のプログラム解説を
今日から5回(予定)にわたってお届けしたいと思います。
誰もが一度は耳にしたことのあるこのポロネーズは1842年に作曲されました。
自分の曲に副題をつけることをあまり好まなかったショパン。
この“英雄”というのも例外ではありません。
ショパンの恋人である女流作家のジョルジュサンドは、1848年フランスで勃発した2月革命の最中銃撃に倒れる革命の労働者たちと、このポロネーズに宿る霊力、活力、精神力を重ね合わせ、この音楽こそが英雄を象徴するものとなる!とショパンへの手紙に記していたことから“英雄ポロネーズ”と名付けられたそうです。
勇ましく突き進んでいく推進力を持ち、ショパンらしい繊細で甘美なメロディーを経て、いくつもの起承転結を含んだ音楽になっています。
小さい頃の憧れの曲を皆様にお届けするのが楽しみです!
田坂麻木ピアノリサイタル
🌹Opus.赤
2018/10/13(土)
19時開演(18時30分開場)
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ピアノ教室Vleugel
この春から新生活をスタートさせた皆さん、
おめでとうございます☺︎
6年間住んでいたオランダでは
夏休みが終わり秋の灰色の空に移り変わる
9月に新年度を迎えるので、
この桜や新芽が爽やかに風にそよぐ4月に
背中を押されながらはじめの一歩を踏み出すのは
とても懐かしく清々しい気持ちです。
新しい生活がはじまるとき、
ワクワクドキドキしますよね。
どんなお友達と出会うんだろう、
どんな事が待っているんだろう、
上手くやっていけるかな、、、。
大人になった今も、
きっとこれから先いつだって
はじめの一歩を踏み出す時は
緊張と不安でいっぱいだと思います。
1月に開講したピアノ教室Vleugel。
新しい生徒さんにお会いする度にドキドキします。
ピアノを好きになってもらえるかな、
ピアノの魅力を伝えきれるかな、
一緒に音楽を楽しみたい!
教室の名前であるVleugel-フリューゲル-は
オランダ語で『大きな翼』という意味です。
そして大きな翼に見えることから
グランドピアノの事を指します。
現在一緒にピアノを学んでいる生徒さん、
これから出会う方々、そして私自身、
自分だけの大きな翼で
悠々自適に空を飛んでいけるように、
という想いを込めて名付けました。
鳥は飛び立つためには練習が必要で、
長い距離を飛ぶには羽休めをする事も大切です。
ピアノも一緒です☺︎
演奏を楽しむ為には練習は必要不可欠で、
自分のペースを掴んでいくことが
ステキな音楽生活を送れる鍵になると思っています。
さあ、一緒にたくさんの音楽と触れ合っていきましょう!
田坂麻木
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田坂麻木ピアニスト LINE@を始めました!
今後の演奏会出演予定、ブログ更新などを
お知らせさせて頂きます☺︎
下記のQRコードからご登録頂けます!
⚠︎こちらのLINEは送信専用なので、メッセージを受け取る事ができません。ご質問等はHPのContact欄からお問い合わせいただけますようよろしくお願い致します。(www.tasakamaki.com)
試弾
ご無沙汰しております。
あっという間に3月になり、
梅や桃のやわらかい香りが漂う季節がやってきました。
6年ぶりの日本の春に心踊る日々です☺︎
さて、今日は今秋のリサイタルに向けて
ホールのピアノを試弾して参りました!
過去4回のリサイタルでは
オーストリアのピアノメーカーである
ベーゼンドルファーと縁があり、
彼らの音と共にリサイタルを作り上げてきました。
そして今秋、5回目を迎えるリサイタルでは
プログラムの内容を含め
色々な角度から考えたときに
『どうしてもスタインウェイのフルコンで弾きたい…!』という思いが強くなり、
条件に見合うホールを探し始め
今日はそのピアノと初対面。
ピアニストは本番で
自分の楽器を使用することできないので
ホールに置かれているピアノとどう仲良くなるか、
ということがとても大切です。
自宅のピアノもお世話になっている調律師さんの上田さんも早朝から駆けつけてくださり、
音色や響き、ピアノの位置などについて
貴重なご意見を伺いました。
ピアノも生き物です。
きっと少しは距離が縮んだはず。
当日は皆さんにフルコンの音色を
楽しんで頂けますように!
前回ご好評頂いた音のパレットシリーズ第二弾。
今回は赤を予定しています。
赤のものを纏って、
会場でお会いできるのを楽しみにしております!
田坂麻木
ピアノリサイタル Opus. 赤
2018年10月13日(土) 19時開演予定