お腹の中のちょうちょ

ピアニスト田坂麻木の音楽と関係あったりなかったりな日々の記録

1st Students Concert

先週の日曜日に、
記念すべき第1回発表会を終えました。

 

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開講当初から、
5人生徒さんが集まったら発表会を開きたい!と
夢みていました。その夢を小さなピアニスト達が叶えてくれました。

 

2月頃から各々の好きな曲調や気になる作曲家を教えてもらい、候補をいくつか挙げて自分たちで曲選びをしてしてもらいました。

初心者の生徒さんが多く、今回の発表会が人生初の人前で演奏する体験になる子供達は、レッスンの時からドキドキワクワクしていました。

おじぎの練習をしたり、お友達の演奏をちゃんと聴くお約束をしたり、緊張したら深呼吸!を一緒に確認したり、、

 

また、今回はそれぞれの親御さんにご協力頂きデュオの部も設けさせていただきました。
普段のレッスンから連弾を積極的に取り入れていますが、発表会に向けてお母様方にご協力をお願いしたところ快諾してくださいました。ピアノ経験のある方が多い中、全くの初心者であるお母様がいらっしゃり、母娘でお互いのフォローをされたり、生徒さんがお母様に鍵盤の場所を教えていたり、、いくつもの微笑ましい光景を準備期間中にたくさん見せて頂きました。

そしてなにより、お母様方と一緒に弾かれるときの子供達の笑顔!!私には引き出すことのできないとびきりのスマイルでした。あんなに嬉しそうに弾くなんて!知りませんでした。笑

 

発表会の準備では、1曲をより深く読み解いたり、人前で弾くことをイメージしたり、緊張してわからなくなったときはどうしたらいいか、など通常のレッスンではなかなか触れる事のない細部をたくさん一緒に勉強しました。

 

そして、当日。
いつもと違う会場、大きくて長ーいピアノ、キラキラのお洋服、、、子供達は楽しいような、ちょっぴり怖いような、、。

リハーサルを終え、本番にむけて控え室に集合。
みんなで緊張をほぐす体操や、自分が弾く曲の紹介、聴きに来てくれた家族についてお話ししました。思いっきり間違えよう!上手くいかなかったと思ったら、もう一度弾こう!存分に楽しんで来てください!と伝え、みんなで円陣を組み小さな声で「えいえいおー!」をしました。

 

本番は、大大大成功です。

一人一人に大きな花マルをあげたいです。
本当によく頑張りました。
リハーサルで泣いてしまいそうなくらい緊張していたKちゃんも、はじめて人前で弾いたAちゃんも、2曲弾く!と練習に励んでくれたKくんも、毎朝登校前に練習をしているKちゃんも、緊張して上手に笑えないと心配していたMちゃんも、お母さんとのデュオが心配、、と話していたKちゃん、皆んな本番が一番上手でした!堂々としていて、音が活きていて、終演後にニッコリ笑って…。
お客様が温かな笑顔や大きな拍手で始終アットホームな雰囲気を作ってくださったことも、みんなの演奏を応援しに聴きに来てくれたRちゃんにも心から感謝しております。


今まで"私とピアノ"だけだった世界に、
小さなピアニスト達が加わり、
世界がじわじわ広がったような
暖かい気持ちになりました。

これからも、美しく面白くほろ苦く奥深い音楽の世界を、彼らの想像力を借りて一緒に冒険していきたいです!

ご協力いただいた保護者の皆様、
聴きにいらしてくださった皆様、
一生懸命がんばってくれたみんな、
ありがとうございました😊

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ピアノ教室Vleugel
田坂麻木

 

自信貯金

 

大変ご無沙汰しております。

みなさま、お元気でいらっしゃいますでしょうか。

 

桜の花も満開になり

本帰国してから2度目の春を迎えました。

 

先週、今年度最後のレッスンが終わりました。

2018年の1月から開講し、集まってくださった小さなピアニストの皆さんはこの1年で出来る事が沢山増えました。鍵盤の場所や、楽譜の読み方、ピアノのペダルの秘密、作曲家の名前や時代背景、舞曲の種類にリズムの取り方、音楽のテクスチャーなどなど沢山のことを一緒に学び、毎週のレッスンで1つずつステップアップする姿を横で見届ける喜びをたくさん経験させて頂きました。

 

"出来ないことを出来るようにするお手伝い"はできますが、実際に"出来るようにする"のは生徒の皆さんの努力以外のなにものでもありません。自分をもっともっと褒めて自信をつけて欲しいと思います!

 

私はただただ好きという気持ちだけでピアノを続けてきましたが、自分のピアノにおける長所をよくわかっていませんでした。というより、考えたことがありませんでした。「あれができない」「これが弾けない」という欠点ばかりをかき集めて、それらを解決するのに必死で、「ここが私の魅力」と胸を張っていえるところを自分自身知らなかったのです。

自分の良さって、自分ではよくわからなくて、他人に言われて初めて気付くものの方が多い気がします。

 

私は留学中に出会った教授方や音楽院の仲間から気付かせてもらいました。自分の良さを知る事は自信につながると感じています。

 

ピアノに限らず、子供たちの世界でも大人の世界でも、傷つく事ってたくさんあります。ちょっとした事で自信が無くなったり、昨日まであった勇気が今日は湧かなかったり、誰でも臆病になってしまうことがあると思いますが、"自信貯金"をいっぱい蓄えておけばそこから自信を引き出して壁を乗り越えるエネルギーの足しになるかもしれません。

 

今年度最後のレッスンで、生徒の皆さんに皆んなの良いところを書いた修了証をお渡ししました。小さなピアニストの皆さんの自信貯金になりますように。

 

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2018年

2018年も残り数時間。
今年も大変お世話になりました。

 

学生を卒業して、
自由の身になって過ごした初めての1年。
山あり谷ありでしたが、思い返すと出会いにあふれた年でした。

 

初春には、慣れ親しんできたクラシックとは違うミュージカルの音楽に触れる機会を頂戴し、劇団四季の方々とご一緒させて頂きました。
第一線でご活躍されていた方々の情熱を間近で感じられた事はとても貴重な体験でした。

そして、ピアノ教室Vleugelの開講。
お陰様で少しずつ生徒さんがいらして下さり、子供たちの自由で柔軟な発想に刺激を受ける毎日です。出来なかったことが出来るようになる瞬間を見届ける事は何にも代え難い感動があります。

また母園にお邪魔して今日の幼児向け音楽教育を見学させて頂きました。私が想像していた"日本人らしい"子供たちはおらず、みんな積極的に参加している姿が印象的でした。

 

 

そして夏には、ヴァイオリニストの佐藤友香さんと結成したDuo Parel(デュオ パーレル)で東京・大阪での初コンサートを開催させて頂きました。

地元ではあさお芸術のまちコンサートにて約1000人のお客様に演奏をお届けすることができ、会場にいらっしゃる一期一会の方々とその時間、空間、音楽を共有できる喜びを感じました。

 

 

秋は5回目となるソロリサイタルを開催させて頂き、演奏家としての自分を冷静に見つめ直す貴重な学びがありました。

 

 

年末にはVleugelの子供達とクリスマスパーティーを開催しました。可愛らしい笑い声が響き渡り、寒さも吹き飛ぶ1日となりました😉

 


今年も皆様からの暖かいご声援を頂き、お陰様で演奏活動をしつつ、新しい扉を開くことが出来ました。来年は、どんな音楽や出会いが待っているのかと思うとワクワクします!


皆様にとって、
幸多き素晴らしい1年となりますようお祈りしております。

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2018年12月31日

田坂麻木

 

プログラム⑤ ラフマニノフ 愛の悲しみ/愛の喜び

さて、プログラムノートも今回が最終回です!

最後を飾るのは、

ラフマニノフ編曲 愛の悲しみ/愛の喜び です。

 

音楽好きな方ならこの2曲がもともとヴァイオリンの為に書かれた曲だということをご存知かもしれません。

ヴァイオリニストであり作曲家であるオーストリア出身のフリッツ・クライスラーが作曲したものをラフマニノフがアレンジしました。

 

ラフマニノフはピアノソロ用に、自身の歌曲をはじめシューベルトメンデルスゾーンなど様々な作曲家の音楽を編曲しました。

作曲家であり、ピアニストでもあったラフマニノフは「自分の曲だけでなく他の人の曲もちゃんと弾けるし、アレンジとかしちゃうからネ!」と、ピアニストとしてのキャリアを高めるためにも積極的に編曲をしていたようです。

 

ちなみに、この愛の悲しみ(=ドイツ語の原題Liebesleid)の「Leid」は日本語では心を痛める"悲しみ"と訳され、心を痛める打ちひしがれるようなイメージがありますが、同じドイツ語圏でも、ドイツとオーストリアでは大きく捉え方が違っているようです。オーストリアでは、どこか望みがあり、ポジティブな意味合いが含まれているようです。

言語も奥が深いですね!

 

それでは、皆さま。

5回にわたりプログラムノートを読んで頂きありがとうございました。

会場で、皆様の"赤"を楽しみにお待ちしております。

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田坂麻木ピアノリサイタル
🌹Opus.赤
2018/10/13(土)
19時開演(18時30分開場)
大泉学園ゆめりあホール
ドレスコード:赤いものを身に付けてお越しくださ

チケット: https://passmarket.yahoo.co.jp/event/show/detail/01euy8zmvckr.html

 

プログラムノート④ラフマニノフ:前奏曲

 

これまでの長い音楽の歴史の中で、前奏曲というスタイルは様々な捉え方をされてきました。

元来、即興的に演奏されるものでしたが、後にそれを楽譜に書き残すようになり、演奏技術を披露したり、自由な作風を受け入れる曲と変貌していきます。


コースの前菜として提供していたのだけれど、
あれ?この料理、単品としても出せちゃうのでは、、、?と作り手たちは気づきはじめ、
翌週からメニューにちゃっかり載せちゃうような感じですね。

 


ただ、前奏曲だけでは単品としては短いし、
出版するには何曲かでまとめた方がいいかな~、、、🤔


その場合どうやってまとめたらいいかな~😑

 

う~、、、ん😖

 

あ、、、吾輩いいこと思いついちゃったのでは、、、🤭

 

と、ある有名作曲家は閃いてしまうのです。
大作曲家バッハが平均律クラヴィーア集で成し遂げた
全調制覇(ド~シまで長短調各1つずつ)を受け継いだらいいのだ!!!ということに。
それに気が付いたのが、そう、ショパンでした。(ラフマニノフではない


そしてショパンは見事に前奏曲を24調で書き上げ、
それに便乗して俺も!俺も!とドビュッシースクリャービン、そしてラフマニノフも同様に書き始めます。


とはいえ、ショパンは24曲で1つの集大成としていますが、ラフマニノフは最初から1つの大きな集合体として前奏曲の作曲に取り掛かったわけではありませんでした。
初めての前奏曲は1892年に、後に10曲の前奏曲集を1903年、別の13曲の曲集を1910年に発表し全調24曲を完成させました。


ラフマニノフの最大の特徴であり魅力であるポリフォニック(多層的な音楽)な書法がいかんなく発揮されています。心臓を鷲掴みにされるような、運命を試されているような、、、。ドラマチックな音楽が盛りだくさんです。

今回はラフマニノフの各時代の前奏曲から計4曲をお届けします。


いっしょに長い時の流れを体験しましょう🌹

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田坂麻木ピアノリサイタル
🌹Opus.赤
2018/10/13(土)
19時開演(18時30分開場)
大泉学園ゆめりあホール
ドレスコード:赤いものを身に付けてお越しくださ

チケット: https://passmarket.yahoo.co.jp/event/show/detail/01euy8zmvckr.html

プログラムノート③ショパン バラード3番

 

私がこの曲に出会ったのは、中学3年生の秋。
高校受験の入試の課題曲でした。
その当時は先生に言われたことをとにかく頭と身体に叩き込むことに必死で客観的に音楽を楽しむ余裕はありませんでした。
月日は流れ、、、10余年、、、10余年?!?!
流れすぎた気もしますが、久しぶりに再会したこのバラードの濃厚さたるや!
15歳の私には知る由もなかった愛憎劇がたくさん盛り込まれていたのでした。

登場人物は若い騎士と水の精・オンディーヌ。
人間と精霊の禁断の恋を、ショパンは繊細かつ大胆に音楽で表現しました。

曲の冒頭、恋人同士の

「ねえ、ずっと好きでいてくれる?」
「当たり前だろ」
「本当に本当?」
「本当だって」


…のようなあまーーーーいやり取りがあり、
そこから湖のほとりで穏やかな時間を過ごすのですが、どの時代も女性は彼に本当に愛されているか不安になるようで…


≪彼が私を本当に愛してくれているか不安です。≫

 

とオンディーヌもYahoo!知恵袋に投稿してしまうんですね。そして、

 

≪別の女性に化けて、彼を誘惑してみては?≫

 

というベストアンサーにたどり着いてしまうのです。どうなる騎士。どうするオンディーヌ。

 

そこからの物語はショパンの天才的な描写と共にお楽しみいただければと思います!

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田坂麻木ピアノリサイタル
🌹Opus.赤
2018/10/13(土)
19時開演(18時30分開場)
大泉学園ゆめりあホール
ドレスコード:赤いものを身に付けてお越しくださ

チケット: https://passmarket.yahoo.co.jp/event/show/detail/01euy8zmvckr.html

 

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プログラムノート② ショパン スケルツォ第2番

 

スケルツォ4曲中、最も人気の高い作品です。
どこかで耳にしたことがある方は多いのではないでしょうか。


変ロ短調の何かを問いかけるような3連符に、決別を告げるような鋭い和音が対になって曲は幕開けします。
変二長調で世界が広がり、ショパンらしい半音の装飾や和音で音楽は推進していきますが、、、

細かい調性や音楽用語を使った解説はやめましょう。つまらないですよね?笑

大まかな粗筋だけお伝えすると、

急―緩―急(+おまけ)

の3部形式となっております。

“急”部は、ショパンらしい神経質でありながら華やかな音楽が鳴り響きます。
移ろう左の和音の上を、自由に右手の甘美なメロディーが揺蕩う、、、ショパン様さすがです。

“緩”部は、突然それまでの色合いとは違った調が姿を現します。
この“え???”という意外性が自然と心地よく聴こえてしまうのがショパンの特性の1つではないでしょうか。

穏やかで、懐の深い音楽が始まったかと思うと、焦燥感にかられるような和音が迫ってきたり、夢心地のような滑らかなパッセージが現れたり、、、。

表情豊かな中間部です。緩部の物語が展開する場面は、このスケルツォ自体において最大の山場であり、運命に翻弄されるかの如くどんどん深いところへ飲み込まれていきます。

そして急部に戻り、曲の冒頭で聴こえた問いかけは輝かしいものとなって鳴り響き、華麗に終わりを迎えます。

シューマンがこのスケルツォ
「優しさ、大胆さ、そして愛と軽蔑が溢れている!」と評価しているように、
相反するものがたっぷり詰まったこの壮大な音楽を是非会場に聴きにいらしてください!

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田坂麻木ピアノリサイタル
🌹Opus.赤
2018/10/13(土)
19時開演(18時30分開場)
大泉学園ゆめりあホール
ドレスコード:赤いものを身に付けてお越しくださ

チケット: https://passmarket.yahoo.co.jp/event/show/detail/01euy8zmvckr.html

 

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