プログラムノート①-ハイドン/ピアノソナタ Hob XVI/34 ホ短調-
みなさん、こんにちは。
ご無沙汰しております。
お陰様で無事に6年間の留学生活を終え、
この秋日本に完全帰国致しました!
ヨーロッパで得た知識や経験を生かし、
これからは日本を拠点にリサイタルやレッスンだけでなく、
様々な形でクラシック音楽をよりたくさんの方々に
身近に感じて頂けるような活動をしていきたいと思っておりますので、
応援して頂けると嬉しいです!
その第一歩として、
12月9日(土)に帰国記念リサイタルを開催する運びとなりました。
それに伴い、当日お届けする曲目の解説や作曲家について、
こちらのブログで毎週末に更新していきたいと思います。
記念すべき第一回目は。。。
ハイドン!
ハイドンと聞き、あぁ。あの人!と思い浮かばなかった方が、
多くいらっしゃるかと思います。
ハイドンさん、あまり認知度は高くないですよね。
確かにテレビや映画などで取り扱われる数は断然少ないです。
ただ、このハイドン、古典派といわれる音楽におけるとても重要な流派の開祖さまのようなお方でして、同じくウィーンで活躍するモーツァルトやベートーヴェンは彼の影響を多大に受けているのです。
とても賢いお方でした。
ピアノソナタだけで62曲(!)、弦楽四重奏68曲(!!)、交響曲108曲(!!!)と、
77年の生涯でこれだけの曲数を生み出した作曲家はなかなかいません。
1つのフレーム(様式)の中で、
巧みに遊んで、工夫して、構築してある彼の作品。
ピアノのコンクールを受けると必ず課題曲に入っていて、
そのために練習することが多かったハイドン。
幼い頃ははあまり個人的に好きな作曲家ではなくて、
その当時は彼の賢さやユーモアがわからず、
古典派特有の”ピュアさ”がどうも苦手で、
先生には毎回怒られて、、、
その結果ハイドンを毛嫌いし、距離を置いてしまいました。
この人とは折りが合わない!と思い込んでいた私ですが、
どうやら神様は見ていたようで
苦手を克服するために、またハイドンに巡りあうことになりました。
その曲が、
今回お届けするプログラム最初の曲です。
いやぁ、長かったです、ここまで来るのに10年かかりました。
ハイドンも勝手に嫌われ、距離を置かれ、案外良い人じゃないの!なんて思われて。
かわいそうに。。
ハイドンを毛嫌いしていた私ですが、
初めてこのソナタの録音を聴いたときに、
なんだか素直に「この曲を弾きたい」と思ったのです。
このソナタは珍しく短調(暗い曲調)から始まり、それも6/8拍子という
第1楽章に用いらることが稀な拍子で始まります。
ホ短調で始まった1楽章を、平行調であるト長調が温かく2楽章で受け止めるのですが、
この2楽章がピュアofピュアで、無駄な音は一切ない。
大の苦手だった古典の純粋さも、
大人になると”なんて美しいのだろう!!”と思うのですから、
音楽はやっぱりおもしろいです。
前述の平行調とはコインの表と裏のようなもので、
同じ調合(#や♭)を持っていながらも始まりの音の位置を変えるだけで
あら不思議、性格違うんですね!、となる調の関係性のことです。
そして最終楽章ではまたホ短調に戻り、
一つのテーマをアレンジしながら展開していく変奏曲のような形で終わります。
10分もない演奏時間の中で、ころころ顔が変わるハイドンのソナタ。
これを機に
「あの子ってちょっと優等生っぽくない?きっと冗談とか通じないタイプ。」
なんて思わず、ハイドンの楽曲に少しでも興味を持っていただけたら嬉しいです!
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田坂麻木 帰国記念リサイタル
2017年12月9日(土)
18時30分開演(18時開場)
古賀政男音楽博物館内けやきホール
チケットはこちらから:http://bit.ly/2euA7Gg
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