お腹の中のちょうちょ

ピアニスト田坂麻木の音楽と関係あったりなかったりな日々の記録

プログラムノート②ードビュッシー/ベルガマスク組曲

みなさん、こんにちは!

三連休は秋晴れが続き、

とても気持ちが良かったですね!

 

さてプログラムノート第二回目は、

みなさんご存じ「月の光」が集録されている

ドビュッシー(1862-1918)作曲

ベルガマスク組曲です。

 

4つの小品からなるこの組曲

1890年ごろに着手され、

その15年後の1905年に

改訂版が出版されました。

 

長い年月の間 何度も改訂が施され、

集録する曲を変更してみたり、

はたまた

『続・ベルガマスク組曲』を創ろうとしてみたり、

試行錯誤の末に次の4曲に落ち着きました。

 

第1曲目: プレリュード

組曲の顔になる初めの曲、

前奏曲(プレリュード)。

世界が開けたような

明るいオープニングで始まります。

中間部で、

異空間のようなもの悲しさが訪れるのですが、

そこでは教会旋法が使われています。

17世紀頃のヨーロッパでは

長調短調が確立されていきますが、

それ以前の長―――――い音楽の歴史の中で、

教会音楽に用いられてきた旋法の事を

教会旋法と呼びます。

 

留学1年目に勉強していたこともあって、

この広い音域を使った自由なオープニングが

これからの留学生活に抱いている

沢山の夢や希望を音で表しているようで

当時の気持ちを思い出します!

 

第2曲目:メヌエット

メヌエットと聞いて頭に思い浮かぶ

「ズん・チャッ・チャッ」

という明確なリズムではなく、

なんだか揺れ動いているかのように聞こえる

この曲。

 

前述の教会旋法が巧みに使われ、

長調短調の音階が幾度も交わるので、

夜の薄暗さのような不気味さが少し伺えます。

最後にグリサンド

(鍵盤を指でトゥルルルと滑らせるアレです)で

フッと消えてしまうのですが、

この霧に溶けてしまうような終わりは、

次曲への繋がりなのでしょうか。。。

 

第3曲目:月の光

前の曲がラで終わるのに対し

こちらはラ♭で始まるのですが、

その半音のズレがなんだか幻想的で、

メヌエットからのバトンタッチが

美しく繋がれます。

 

 

実は

感傷的な散歩道

というタイトルが付けられていたのですが、

後に現在の題名に変更されました。

 

この曲はポール・ヴェルネールという詩人の

詩をもとに作曲されているといわれています。

 

・・・悲しく美しいあの月の光の静寂に

梢の鳥たちを夢に誘い

すらりとした大きな大理石の噴水を

うっとりすすり泣かせるあの月の光に

 

.....なんですか、

この儚く美しい言葉の羅列は!

 

また、ドビュッシーは恋多き人物だったようで、

18歳から不倫、浮気、二股、駆け落ち、

いろいろ経験しているのですが、

この曲もきっと

好きな女性に贈ったのではないでしょうか。

 

留学時代、

音楽院からの帰り道に

いつもお月様を探しながら

この曲を口ずさんでいました。

 

第4曲目:パスピエ

4曲の中でピアニストに一番人気のある

パスピエ(私の統計上ですが)。

ちなみに私の師匠も一番好きでした。

もともとはフランス古典舞曲である

パスピエの拍子は3拍子なのですが、

ドビュッシーはそれを4拍にアレンジして

作曲しています。

 

ひたすら八分音符(♪)が

曲を進めていく最後の最後に、

あっさり曲を終わらせてしまうドビュッシー

くぅ〜、憎いですね!

休符を置くことで無音にし、

逆に『音』を意識させるあたりが、憎い!

 

 

個々のキャラクターが

しっかり味付けされているのですが、

4曲並んでもお互いが前後の曲を邪魔しないどころか

各々の性格をきっちり際立たせているこの組曲

みなさん独自のストーリーと併せて、

当日楽しんでいただけたら幸いです!

 

 

 

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田坂麻木 Maki Tasaka

12月9日(土)18:30開演

帰国記念リサイタル in Tokyo

◎チケットはこちらから http://bit.ly/2euA7Gg

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