お腹の中のちょうちょ

ピアニスト田坂麻木の音楽と関係あったりなかったりな日々の記録

【留学備忘録:オリエンテーションとグループレッスン】

大変ご無沙汰しております🤲


6年半の留学生活を振り返るには

膨大な時間と記事が必要になる事に気が付き……

小休止を挟みながら更新させて頂きたいと思います。お付き合い頂けましたら嬉しいです🌱

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授業が始まる!その前にオリエンテーションが行われました。当日の予定は事前に渡されるのですが、

何もわからない私にとってはそれはそれは不安でしかない1日。まず集合場所もよくわからず、予定表の見方もわからず、とりあえず音楽院へ…。


音楽院の扉をくぐり抜けいざ…!と気負うも束の間、そこには試験で出会ったインドネシアの女の子(Iちゃん)がいました。すぐに私を見つけてくれ同郷の友人2人に加え、ポーランド オランダ、シンガポール、先程知り合ったトルコ人の友達まで紹介してくれました。Iちゃんの短期間でのコミュニケーション能力には驚かせられました🙄

この友人達は留学時代を語る上で欠かせない存在となり、帰国した今でも連絡を取り合う大事な仲間たちです。


みんなで会場のホールに行き、校長先生のお話を聞き、在校生の演奏を聴き、どこの国のものかもわからない言語が客席で飛び交う中、いよいよ学生生活が始まりました📚✍️

 

ピアノ科のグループレッスンがあるからみんなで聴講しよう!という話になりました。

グループレッスンとは師事する先生とは違う先生に教えて頂ける公開レッスンのこと。聴講は、1年生から4年生、卒業生、そして先生のファンの方々、ピアノ科以外の学内の生徒…誰でも可能でした。

入学してからIちゃん以外のピアノ科の生徒に出会う機会がなかったので、同期も含めて先輩たちにも会えるのだとドキドキしていました。ワクワクより、とにかく不安でドキドキドキドキ…

 


グループレッスンは夜の19時から音楽院のスタジオで行われました🌙予定の時間に近づくとスタジオに次々と学生が集まり始め、Iちゃんに言われるがまま付いていくと、そこには男の子3人がいました。『私たちみんな同期よ!』と紹介されたのがオランダ出身のR、オランダ育ちインドネシア出身のP、そしてスウェーデン出身のS。心臓がバクバクするのを感じながら、なんとか自己紹介をし、PとSが同門であることを知りました。

 


グループレッスンは和気藹々としていて、みんな家族のようなでした。ピリピリした雰囲気を想像していたので、驚きました。

 


聴講は英語がわからなくとも、演奏の変化や先生が弾かれる短いパッセージだけでもお腹いっぱいになってしまうくらい楽しくて、これからのレッスンに胸を膨らませました…が、入学してから長い事私の頭を占めていた"英語ができない"という不安が溢れてしまったのもこの日でした。

 


同期と仲良くなりたい、でも英語が話せない、みんなと家族のようになりたい、でもこんなに見つめ合いながら話なんてできない!!!!そんな私を他所目に、Sが見てくる見てくる。すっごく見てくるのです。今思えばただのコミュニケーションの一環なのですが、私には「英語話せないの?」って思われてるのかも…絶対そう……話せない…仲良くなれない…恥ずかしい……その場を繕い、帰宅後不安が溢れて大号泣しました。笑

泣くことなんて一つもないのに!

Sだって、何もしていないのに!笑 

このエピソードを本人に伝えることができたのはそれから3年後のことでした🥲 

 

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📷:グループレッスンが行われる前の記念写真(同期と先輩と)

 


ドキドキワクワク、時にはちょっぴりほろ苦い、

大切な6年半の留学生活。次回は授業編!

【留学備忘録: 試験の日に見かけた女の子】

入試は、事前に送られてきたメールに記載されていたスケジュール通り、音楽院の6階にある部屋で行われました。


扉に貼られた試験順を元に、自分の番まで各々の過ごし方で待機をします。ウォーミングアップ用に用意されていた部屋は一つのみ。1人〇〇分と与えられているわけではなく、自分で他の受験生と交渉をします、ということを事前に知る由もなく……😖


試験日は嵐のような1日でした。試験会場がわからずレセプションで聞いても「知らない」の一点張り、音楽院中を歩き回ってそれらしき部屋を探して安堵するのも束の間、試験の受験リストに自分の名前がなく!恐る恐る部屋の扉を開けて名前がない事を審査員の先生方に伝えリストに書き加えて頂き、さあウォーミングアップをして気分を落ち着かせようと思ったら古いアップライトが置いてあるだけの部屋に鎮座する他受験生!拙い英語で練習させてと懇願し、、、😵


試験を受ける前に既にヘトヘトでしたが、

ピアノさえあればどうにか意思疎通できる!と思えたので、嫌な緊張は知らぬ間に解れていたかもしれません。

 


無事に試験を終え、帰ろうとした私の横を、

ピンク色のスパンコールのドレスを着た女の子が泣きながら走っていきました。

ピアノの試験があった部屋のすぐ横だったので、同じ受験生だったことはわかりましたが、

聞いたことのない言葉を友人らしき子と泣きじゃくりながら話し、一体どんなドラマが繰り広げられていたんだろう……と思い会場を後にしました。

 

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《音楽院の教室がが並ぶ廊下》

 

 

そしてあれから3ヶ月が過ぎ、、、

音楽院授業開始前日。

生徒一人一人に充てられるメールボックスを確認しに学校へ行くと、「もしかして、ピアノ科を受けていた?」と声をかけられました。声の方をみると、そこにはあのスパンコールの女の子が!

 


彼女も受験に合格し、9月から同じピアノ科の同期として勉強することになったこと、インドネシア出身だということ、試験の日は緊張から涙が止まらなかった事を話してくれました。


たった5人のピアノ科同期中唯一の女の子である彼女とは、卒業した今も交流のある長ーい付き合いになるのです☺️

 

さて、次回からいよいよ音楽院生活の始まりです!

 

【留学備忘録:はじめまして】

オランダに無事到着し

7つの段ボールに

大きなリュックを抱えて

オランダの両親が待つ入国ゲートへ、

 


よく来たわね〜!

と迎えてくれたオランダの両親の車に

自分たちの荷物を乗せ

私と1ヶ月付き添いで来てくれた母は

電車で入居する家のあるハーグへ。

 


前回来た旅行の時とは違って

これからここで生活していくのだと思うと

街の見え方が全く異なりました。

 


ちょっとの不安と

たくさんのワクワクを抱えて

新生活の幕開けです!

 

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📷:家の前の通り


新居に到着すると、そこには初めましての大家さんがいらっしゃいました。

紫色の縁のメガネをかけ、ピンクと黄緑色のシャツを着た、陽気なおじさん、というのが第一印象でした。

 


玄関をくぐると3つのお部屋、共同トイレと、キッチンが2つにシャワールームが2つ、そして美容室がありました。

美容室のオーナーのオランダ人美容師さん、2階にオランダ人&オーストラリア人のカップル、そして、グランドフロアに新参者の私。この3組での共同生活が始まりました。

お手伝いにいらしていた色白のお兄さんが後に大家さんの恋人だと知り、一気にオランダらしい生活にダイブしたような気分でした。

 

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📷:自宅玄関

 


一度下見で伺ったときにシューズボックスだと思っていた扉の向こうが、シャワールームだったときのショックは未だに覚えています🤣

 

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📷:左に見えるのがシャワールームの扉です🛁シューズボックスに見えますよね?👀

 

【留学備忘録:いざ!】

地元の駅で幼馴染み達と別れ、
バスは成田空港に到着しました。

 

そしてそこでは高校の友人達が待っていてくれました。一緒に食事をし、他愛無い話をして、いよいよ出国の時。


ゲートをくぐると、涙が止まりませんでした。

留学は憧れで、夢で、やっと目標に近づくキラキラしたものですが、やはりこれまでの日常を置いていく寂しさというものは計り知れないものでした。

不安や心細さと、バス停に駆けつけてくれた幼馴染み達やたった数時間のために空港に会いに来てくれた友人達への感謝の気持ちが、一気に心に押し寄せて涙となって溢れてきてしまったのです。

このブログを書いている今も思い返すだけで泣いてしまいそうになるくらいでして…
未だの空港に行くだけでちょっとウルっとしてしまうくらいです。

 

 

幼なじみにもらった本、
友人からもらったアルバムを何度も読み返して
飛行機はオランダに向かいます。

 

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【留学備忘録:いよいよ出発!】

留学を決意してから

とにかく練習に次ぐ練習の日々。

その傍らで、入試受験資格として課されている英語のテスト受験準備のためのスクールに通い、入試用の提出課題、提出書類、住居の準備、ビザ取得準備、そしていつも通り高校に通っていました。

 


ビザについてはよくわからず、オランダの大使館に拙い英語で電話してみたり、大家さんから送られてきた住居の契約書を1単語ずつ訳したり、、、初めてのことに悪戦苦闘しながらも、勢いと家族友人知人の助けに支えられ、なんとか出発の日を迎えました。

 


この日のことを思い出すと、もう約10年も前の事なのに、未だに胸に込み上げてくるものがあります。

 


朝5時。地元の駅で空港行きのバスを待っていると、向こうの方から手を振ってこちらに向かって歩いくる若者のグループがありました。まさか知り合いだなんて思わず、7つもある大きなスーツケースと段ボールをバス停に並べていると、『田坂ー!』と声をかけられたのです。声の方を向くと、幼なじみと小中の同級生が居たのです。

びっっっくりしました。

 


友人達に声をかけてくれたのは小学校からの幼馴染みでした。彼はサッカー少年で、お互い小さな時から目標がありました。試合を見に行ったことはありませんし、演奏を聞いてもらったこともなく、

自分たちの夢について深く語り合うことはありませんでした。ただ私は影ながら"同志"だと思っていたので、こんな形で出発を見送ってもらえるなんて、本当に嬉しかったのです。

 


そして本を1冊くれました。留学先で心が枯れそうな時、よく読んでいました。今でも宝物です。

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📷:特にお気に入りのページ

 

 

 

集まってくれた友人の中には、中学卒業以来に再会した友人もいて、束の間の同窓会のような時間でした。彼の人徳で集まってくれたみんなに心から感謝しています。

 


そんなみんな別れ、バスの中で大泣きをしながら空港へ向かいます✈️

【留学備忘録:はじまりのはじまり[終]】

 

そこで出会った日本人女性は
なんとピアノ科に在籍していらして
なんと今年度で卒業予定で
なんと帰国予定で
なんと言っても借りているお家を受け渡す相手と所有しているピアノの買い手をさがしているという、、、
絶妙なタイミングで出会ってしまったのです、、、!

 

授業内容や住宅情報などを教えていただき、
そして、後に6年半お世話になる師匠について
お聞きする事ができました。

 

耳にする単語はどれもはじめて聴くものばかりで、ただ海外の音楽院を見学する気持ちで訪れたヨーロッパでしたが、心は決まりつつあったように思います。

 

ハーグの学校を見学した後、アムステルダムリューベックミュンヘンと各地の音楽院に訪れ、そこで留学生活を送られている日本人留学生の皆さんにお話を聞き、はじめてのヨーロッパ旅行は幕を閉じました。

 

さあ、いよいよ人生の岐路に立つ時です!

 

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オランダ行政の中心、ハーグにあるビネンホフ。

この地に6年ちょっと住むことになります。

 


…このままでは留学本編になかなか話が進まないことに気がついたので、ざっくり割愛いたしました!次回からやっと留学生活はじまります!!

【留学備忘録:はじまりのはじまり④】


私が想像していたヨーロッパの音楽院とはまるで違った外見に「………え?」と戸惑いながらも、いざ構内へ!

 


二つの自動ドアを潜り抜けると、少し暗がりのエントランスが広がり、そこには沢山の学生が行き交い、さまざまな異国の言葉が聞こえてきました。

 

まるで別世界の扉を潜ったようでした。入学してからも、国籍だけでなく、年齢層まで、その幅の広さに驚く事になります。

 


まずは学校案内をゲットしよう!と、意を決して、受付のスタッフの方に話しかけてみます。

 


「エ、エクスキューズミー…?」

 


物腰が柔らかそうなそのスタッフの女性は、すぐに応答して下さいました。

 


「Hi. What can I do for you?」

 


案内の冊子をもらおうと

ブックレットが欲しいと言うと、

これがなかなか伝わらないのです…

 


お互い「???」が頭の上に浮かび

どうしようかと困っていると

スタッフの女性が

 


「あなた、日本人よね?あそこに日本人がいるから、彼女に聞いてみて!」

 

と言うので、指差す方向を見てみると

友人らしき人と会話をしている女性が確かに立っていました。

 


恐る恐る近づき

 

「あの、、、日本の方ですか??助けて欲しいのですが、、、」というと

 


「え?!はい、日本人です!

学校案内の冊子??あー、聞いてみますね!」

 

と快く助けて下さいました。

 


無事に冊子をゲットし、その日本人の方とお話しすると、なんとピアノ科で!この後時間があるからランチしながら詳しいお話でもどうですかと提案してくださったのです!!

 


なんという奇跡!!!

 

 

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こちらが6年間在籍していた音楽院です。

学校に見えませんよね?