お腹の中のちょうちょ

ピアニスト田坂麻木の音楽と関係あったりなかったりな日々の記録

【留学備忘録: 試験の日に見かけた女の子】

入試は、事前に送られてきたメールに記載されていたスケジュール通り、音楽院の6階にある部屋で行われました。


扉に貼られた試験順を元に、自分の番まで各々の過ごし方で待機をします。ウォーミングアップ用に用意されていた部屋は一つのみ。1人〇〇分と与えられているわけではなく、自分で他の受験生と交渉をします、ということを事前に知る由もなく……😖


試験日は嵐のような1日でした。試験会場がわからずレセプションで聞いても「知らない」の一点張り、音楽院中を歩き回ってそれらしき部屋を探して安堵するのも束の間、試験の受験リストに自分の名前がなく!恐る恐る部屋の扉を開けて名前がない事を審査員の先生方に伝えリストに書き加えて頂き、さあウォーミングアップをして気分を落ち着かせようと思ったら古いアップライトが置いてあるだけの部屋に鎮座する他受験生!拙い英語で練習させてと懇願し、、、😵


試験を受ける前に既にヘトヘトでしたが、

ピアノさえあればどうにか意思疎通できる!と思えたので、嫌な緊張は知らぬ間に解れていたかもしれません。

 


無事に試験を終え、帰ろうとした私の横を、

ピンク色のスパンコールのドレスを着た女の子が泣きながら走っていきました。

ピアノの試験があった部屋のすぐ横だったので、同じ受験生だったことはわかりましたが、

聞いたことのない言葉を友人らしき子と泣きじゃくりながら話し、一体どんなドラマが繰り広げられていたんだろう……と思い会場を後にしました。

 

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《音楽院の教室がが並ぶ廊下》

 

 

そしてあれから3ヶ月が過ぎ、、、

音楽院授業開始前日。

生徒一人一人に充てられるメールボックスを確認しに学校へ行くと、「もしかして、ピアノ科を受けていた?」と声をかけられました。声の方をみると、そこにはあのスパンコールの女の子が!

 


彼女も受験に合格し、9月から同じピアノ科の同期として勉強することになったこと、インドネシア出身だということ、試験の日は緊張から涙が止まらなかった事を話してくれました。


たった5人のピアノ科同期中唯一の女の子である彼女とは、卒業した今も交流のある長ーい付き合いになるのです☺️

 

さて、次回からいよいよ音楽院生活の始まりです!